PLAY...2誘われるままに、夢中でキスをした。唇を重ねるだけではない、いつものようなキスを。舌を絡め、首筋を吸い、噛みついた。 蔵馬の方もオレの首に手を回し、積極的に応じる。 綺麗な顔、長い髪。なんだか女を組み敷いているような錯覚に陥りそうになるが、首から下は、紛れもなく男の体だ。 「……飛影」 碧の瞳を半分閉じて、蔵馬がオレの名を呼ぶ。 それだけで、オレの下半身には痺れるような、くすぐったいような感覚が起こる。 「…くら、ま…」 早く、触って欲しい。 服を着たままのオレの下半身は窮屈で、早く解放されたくてうずうずしている。 「飛影、触って…」 え? 自分が口に出してしまったのかと、思わず目を見開いたが、聞き違いではない。 触ってくれと、蔵馬が、オレに、要求しているのだ。 そうか。オレが触らなければいけないのか? おそるおそる、下着の上から蔵馬のものに触れた手を、慌てて引っ込める。 そこはもう硬く盛り上がっていて、熱かった。 「……っ」 頬が、カアッと熱くなる。 普段、オレは滅多に蔵馬のものに触らない。自分のものは、しごかれ、揉まれ、大抵の場合は舐められるというのに。 なんだか、苦手なのだ。これが今から自分の体に入るものなのかと思うと恥ずかしくていたたまれなくて、行為の間中、オレは目をつぶっていることが多い。 いや、多い、と、今気付いた。 「早く…。飛影、触って…脱がしてよ…もうきつい…」 確かに、蔵馬のものは盛り上がり、下着を押し上げていた。 けれど。 オレは、したくない。触りたくないし、見たくない。 手で触ったり、舐めたりするんじゃなく、いつものように自分の体の奥で感じたい。 狭い入口をぐうっとこじ開けて、直腸を無理やり広げて、奥の奥を突いて欲しい。 また、ごくりとのどが鳴った。 違う…そうじゃなくて、今日はオレがこいつに突っ込むんだ。 慣らして、広げて、硬くした自分のものを突っ込む。 おそるおそる、下着に手をかけ、引っぱると、 「…ぅわっ」 びょん、という勢いで、大きくなったものが飛び出す。 もじゃもじゃの毛の中から、そそり立つものは、雄のにおいをぷんぷんさせていた。 明るい光の下で、なんだかそれはひどく卑猥だった。慌てて下着を戻そうと… 「やめないで…」 「な、蔵、はなせ…」 手を握られ、そのままやつのものを握らされた。 「…な」 「してよ…手でも、口でもいいから…」 オレの片手にはおさまらないほど太くて、熱くて、血管の浮いたそれはオレの手の中で脈打っている。 よくもまあ、こいつはこんなものを毎度毎度オレの尻に突っ込んでいたもんだ。 「擦って…」 低く甘い声で、目を潤ませて、蔵馬がねだる。 そろりと、握った指先に力をこめると、あり得ないことに手の中のものはより大きくなり、硬さを増した。 「……っぁ」 漏れた声は、オレの声だった。 触れられてもいない尻の奥が、きゅうう、と締まった。 「……ゥァ」 「…ァ、ン、飛影、もっと…強くしてよ」 「あ、バカ、触るな…っ…んん!! アッ…」 蔵馬が焦れたように曲げた膝が、オレの股間をぐうっと押したのだ。 「あ、アア、うあ!や、あ…」 …まずい。それはまずい! 急に目の前が白くなった。 ぐらりと後ろにひっくり返りそうになった体を、蔵馬が抱きとめる。 「あ…あ…」 「どうしたの?飛影」 「……あ」 さっきの比ではない温度で、オレの顔が熱くなる。 なぜって、なぜって… 「……ぅ」 ズボンの中が、濡れている。 生温かく、べっとり濡れて、肌にはりついている。 「飛影?」 「は、放せ!触るな!」 自己嫌悪に陥るほど大量のぬるぬるとした液体が、太股にまで流れて行く。 今にも服に染みが浮きそうで、オレは慌てて蔵馬の上から降りようとした。 「アアッ!」 ソファから降りようとしたオレの服を、蔵馬がぐっとつかんだのだ。 よじれた布に下腹部が押され、萎えていたものにビンッと芯が入る。 「や…」 「オレをこんな途中で放り出してどこ行……あれ?」 「……ぅ」 「ズボン、濡れてる…?」 「だ、黙れっ!! 黙れ黙れ黙れ!」 最悪だ。 やつに入れるどころか、服の上から刺激されただけで射精するなんて! 今すぐここから逃げ出したい。魔界に帰りたい。 …魔界までも、追ってくるだろうけど。 「…飛影?」 「もう、いい。放せ!こ、今夜は…もうしたくない!」 「…貴方は良くても」 オレは、まだ何もしてもらってないんですけど。 その言葉と同時に、いつの間にかオレと同じように床に下りていた蔵馬の手が、後ろから器用にオレのベルトを外す。 「…っひ」 濡れた服の中に潜り込んできた指が、くっとそれを挟む。 「ん……」 まただ。 また、尻の奥がきゅうっと締まる。 盛り上がったり、窄まったり、ヒクヒクと痙攣しているのが自分でもわかる。 「飛影…抱いてよ。お願い」 後ろから抱きかかえられ、囁かれる。 その度に、尻の奥の痙攣は激しさを増す。 「抱いて…オレに…挿れて…」 「……嫌、だ…」 「どうして?」 悲しそうな声で、蔵馬が問う。 どうしてって…オレは…オレは。 「オレは…お前なんか抱かん…」 「え?でも…」 「………だ、から……け」 「え?」 「……お前が…オレを抱け…抱かせてやる!」 ああ。 言ってしまった。 それみたことかと蔵馬が嘲笑うのを見たくなくて、オレはギュッと目を閉じた。 「飛影」 うるさい。二度言わせる気なのかこいつは。 「…飛影」 「なんだ…?」 「オレはね」 貴方を抱くんでも、貴方に抱かれるんでも、いいんだ。 どっちだって、構わない。 人の股間を弄りながら、蔵馬は続ける。 「だって…」 愛し合って、繋がることには何も変わりはないじゃない? 「……蔵馬」 「というわけで」 というわけで?いきなり態度を変えた蔵馬に、オレは面食らう。 にこっと、蔵馬は破顔した。 「今夜は攻守交代、ですよね?」 ***
「や、あ、うあ、あん…」明かりのついたままの部屋で、床の上で。 四つん這いになって、足を広げて。 「んっん…あ……」 蔵馬の両手で開かれた尻の奥を、熱い舌が舐めている。 「……ふ、うっ…」 気持ちいい。 痙攣していた場所を、蔵馬の舌と指が丁寧に丁寧に、解す。 一度射精し終わっているオレのものは再び勃起していて、今にも腹にくっつきそうだ。 「うあ!あ、ああ…」 「飛影、もっと足広げて…」 顔を床にぺったりつけ、さらに尻を高く上げ、足を広げる。 尻の奥を広げて晒して、今のオレはどれほどみっともない格好をしているのだろうか。 「っぐ、あ!アアッ」 見えなくても、わかる。 両手の人差し指をねじ込まれ、穴を大きく左右に広げられた。 「ひぁ、あ…うあ」 「中、びしょびしょ…真っ赤だ」 どうしてこいつは、言わなくてもいいことをわざわざオレに言うのだろう! 「き、さま…ウア!アアアッッ」 息を、中に吹きかけやがった! 濡れた粘膜が冷たい風を感じて、みっともないほど収縮を繰り返す。 「かわいい…パクパク動いちゃって…」 「う、るさいっ!! 無駄口はい、い…うああ!」 穴のふちを引っかけるようにさらに引っぱられ、指先で刺激され、また床に顔がついた。 いつの間に出したのか、オレの腹の下には、またもや白い液が溜まっている。 ああ、もう! さっさと… 早く。早く挿れてくれ、ガンガンに中を突いてくれ! …そんなこと、絶対に言えないが。 「飛影…」 熱い体が、後ろから覆いかぶさる。 ようやく挿れるのか。 体が、ぶるっと震える。 「……」 まだか。早く…早くしろ… 「ヒアッ、アア、ウ!」 また勃起していたものを、勢い良く扱かれる。 今夜三度目の射精に腰が砕けて落ちそうになった瞬間を狙って、熱く太いものがオレの尻にぶち込まれた。 ***
「うあ、あっ…あっ…あっ!あ!あ!あぅ!アーーーーッ」熱い棒が、オレの中をずるんずるん、行き来する。 蔵馬の股間がオレの尻に叩き付けられる、パン、パンという大きな音が部屋に響く。 気持ち、いい。 我慢させられていた分、いつもよりもっと、もっともっと、気持ちいい。 先ほどまで自分が組み敷いていた綺麗な男が、オレを犯している。そう考えると、頭がおかしくなりそうだ。視界がぐるぐる回る。 「あ!あ、あぅ!あ!ああ!!」 もはや四つん這いですらない。 蔵馬に持ち上げられて、腕も頭もだらんと垂らし、尻を突かれているだけでしかない。 足でさえ、時折床から浮いている始末だ。 「ほら、飛影」 クスクス笑いながら、蔵馬がオレの胸のあたりに手を添え、体を起こさせる。 ソファに手を付かされ、尻を突き出すような姿勢を取らされたが、もうそれを怒るような余裕もない。 「あ…ひあ、ん…」 「飛影も、ちゃんと動いて…」 「…ん、あ…」 再び、ずるっ、ぐちゅっと音を立てて、抜き差しが始まった。 蔵馬が突くのに合わせ、オレは尻を振り、声を上げる。 「ヒア、あっう、あぅ!あぅ!あぅ!」 「飛影…好きだよ…愛してる…」 切れ切れの囁きに、情けないことに、オレの尻はぎゅうっと窄まり、肉棒を目一杯締めつけた。 オレも、お前を。 そう返したことは一度もないのに、蔵馬は何度でもオレに同じ言葉をくれる。 「くら…蔵馬…ア、ア、ア、アッウ!!」 だめだ。もう手を付いていることもできない。 オレはまた人形のようにぐたりと腕を下げ、蔵馬のなすがままになる。 頭が下を向いたまま、体を持ち上げて突かれる。何度も何度も。 逆さの視界に、クラクラする。 「…飛影、ひえい…!」 「ア!ア!ウァア!」 呼んでくれ。 何度でも。 呼ばれる度に、内臓が口から飛び出しそうになるほど奥を突かれる度に、頭が、体が、甘く痺れる。 最高に…気持ち、いい。 「ア、ア、ウアアアアアアァァッ…!!」 ああ、もう。 もう…蔵馬。 床で氷涙石が跳ねたのが、かすかに見える。 自分の汗と、蔵馬の汗が、ポタポタと床に落ちる。 「飛影…っ!!」 「ア、ア、ウア…アッウ!!…アーーーーッ!!」 奥の奥をガツンと突かれ、中に…中に… 蔵馬の出したものが、穴に満ちて、溢れ出す。 少し痛くて、ちょっと気持ち悪くて、信じられないほど、満たされて。 下腹が、痛いほどに波打つ。 四度目の射精に、オレは意識を手放した。 ***
いつの間にやら、ベッドにいた。何回目の途中で運ばれたのかは思い出せないが、繋がったまま抱き上げられて、悲鳴を上げたのは憶えている。 「あー、満足満足。…今夜はもう、寝ましょうか」 汗やら唾液やら精液やらで全身ベットベトだというのに、どうやら今夜はこのまま寝る気らしい。いくらなんでも、二人分の精液と汗と唾液にまみれ、とてもじゃないがこのまま眠ることはできない。 おまけに、中を掻き出して洗っておかなければ、後でひどい腹痛に見舞われることはわかりきっている。なのに、起き上がろうとしたオレの腰に手を回し、蔵馬は邪魔をする。 「行かないで」 「馬鹿やろう。このまま寝れるか!」 「いいじゃない。朝になってからで」 冗談じゃない。横になったベッドのシーツさえ、体に貼り付くくらいに、どこもかしこもベトベトだ。 それに……たっぷりと中に入れられた液を出してしまわなければ。 「あ、わかった」 「何がわかっ…おい!何を…っ!!」 腕を力いっぱい引かれ、ベッドにうつぶせに倒された。 「や、あ、やめっ」 再び四つん這いにされ、尻を広げられた。 「あーすごいね。お尻の穴、擦り過ぎて真っ赤だ。おまけに…」 中も、いっぱいなのかな? どれどれー?ここで出してごらん? 「な、嫌、だ。何を馬鹿…うあ、アアッ!!」 指の腹で、ぐうっと閉じた肛門を押された。 じわあ、っと穴から漏れた液は温かくて、オレは羞恥に発狂しそうになる。 「やめろ!触るな!! ヒ、ア!」 「どんどん、出てくるね…」 中に指は入れずに、ただただ入口の肉を押すように刺激する、指。 押される度に漏れ出す中身は、オレの陰嚢から陰茎へと伝い、ベッドも汚す。 「ほら、全部出しちゃわないと、お腹痛くなるよ」 「きっさま、が、離せばい…ひっ…ヤ、ア、ンアッ!!」 貴方の出したのなら舐めてあげるのに、自分のだと、そんな気になれないなあ、などとふざけたことを抜かす蔵馬に、蹴りをお見舞いしようと足を動かした途端、ぐじゅる、という音を立てて大量に吹き出した液が、太股を伝う。 「や…うあ…見るな…っ」 我慢できない。 もうそこを締めることもできなくて、四つん這いのまま、蔵馬の精がだらだらと伝い落ちるままという情けなさに、オレは自分の手の平に爪を立てた。 「飛影…」 「うるさい!! 見るな!離れろ…っ!!」 「大丈夫、だよ」 何が大丈夫なんだ!? いいから離れてくれ、見ないでくれ、恥ずかしすぎて、情けなくて、何もかも嫌にな… 「飛影、愛してるよ」 なぜ、今またそれを言う!? 今のオレの望みは、一人で浴室に行って中も外も洗うことなのに! 「愛してます、飛影。だから」 貴方の全部を、見せてよ。 嬉しいことも、怒っているところも… 「恥ずかしいことも、全部ね…」 …恥ずかしいことも、全部? それでも、こいつは… 「貴方の全てを、愛してる」 狡い、悪賢い、古狐が…! なぜオレは…こいつと…こいつを…あ… 「愛してる、飛影」 脳に直接吹き込むような囁きとともに、一際強く指でそこを押され、オレはあっけなく陥落した。 ***
「なんだか…」「はい?」 はめられた、気がする。 いや、ハメられたのも、確かだが。 「もしかして、はめられた、とか思ってます?」 「はめただろうが…」 「…違いますよ」 だって、貴方を抱くんでも、貴方に抱かれるんでも、いいって思ってるのは、本当ですよ。まあ、妖狐はそうは思ってないかもしれませんけど。 「……」 ベッドの中で、腰に腕を回されたまま囁かれる言葉なんぞ、信用してもいいのだろうか。 「だから、いつでも言ってくださいね。オレを抱きたくなったら」 今夜何度目になるだろうか? 蔵馬の、笑顔。 それに反応したのが前ではなく、後ろだったことは、絶対に、口が裂けてもこいつには言うもんか。 腰に回された手をつねり上げ、今度こそシャワーを浴びに行こうと、オレは寝返りを打って起き上がった。 床に足を下ろした所で、腰が抜けていることに気付かされ、結局抱き上げられて風呂場に運ばれ、洗われ、もう一度ぶち込まれ、もう一度洗われたことなんぞ、絶対、誰にも言えはしない。 いつか必ず、こいつにぶち込んで、ひいひい鳴かせてやる! 心の中で、固く誓いを立てた夜だった。 ...End. |