合縁奇縁の獣たち...5

「オレは、お前の方がいい。抱かせろ」

誰を?
オレを?
何を言ってるんだこの狐は?

冗談よせと罵倒しようとして、金色の瞳に射竦められる。

本気で?
こいつは本気で言ってるのか?

嫌だ。
冗談じゃない。
あの鋭い爪で体内を裂かれた痛みを思い出して、冷や汗が吹き出す。

だが…雪菜と引き換えにするわけにはいかない。

そもそも、断る権利などない。
命令されれば逆らえない。
所詮無駄なあがきだ。

「…なら命令したらいいだろう。どうせオレは逆らえない」

精一杯の虚勢を張って睨む。

「それじゃ面白くない。人形みたいに従順ではつまらん」

狐が笑う。

「まったくお前は。どんな女も男も、この妖狐蔵馬様の寵を受けるとなったら大喜びするんだぞ?」

金の瞳、銀の髪。
恐ろしいほど怜悧な美貌。

こいつが綺麗な生き物なのはオレも認める。

だが自分でこんな事を普通言うか?
しかも冗談ではなく本気で言ってるらしい。
自惚れた狐だ。

「言っておくがオレは見た目だけじゃないぜ?」

卑猥な笑み。
さすがのオレでも何を言わんとしているかは分かって、頬が紅潮する。

「…だったら、選り取り見取りだろう?他を当たってくれ。オレはごめんだ!」
「まあオレに一度抱かれたらそんな口きけなくなるぜ?お前を今まで抱いた奴らなんか思い出せなくさせてやるよ」
「誰にも抱かれたことなんかない!!」

しまった。
激高して言わなくてもいいことを言った。

「…まさか、初めてなのか?」

失言に気付いて真っ赤になったオレに蔵馬は驚いたように聞く。
返事も出来ずにいるオレに近づくと、長い指があごを掬って上向かせる。

くやしい。
自分でも真っ赤になってるのが分かる。

「…だったらなんだ?」

目を合わさずに言い放つ。
金色の瞳が、笑みに細くなる。

「お前は幸運だぞ」
***
暖炉の部屋とは違い、この主寝室のベッドは贅沢なまでの大きさだ。

大きなベッドの上でより小さく見える飛影は真っ赤になってオレから目をそらしている。
腹部の傷にはたっぷり妖気を注ぎ込んでやった。痛みはだいぶ治まっているはずだ。

「このオレが自分の妖気を分けてやるなんて初めてだ」

小さな体を膝に座らせて後ろから抱き込む形で囁く。
頼んでない、といういつも通りの返事が返される。

「自分で脱ぐか?脱がされる方が好きか?」

軽く耳たぶを噛んで尋ねると、小さな体が腕の中でビクッと震える。

脱ぐも何も、この根城には飛影が着れるような小さな服はなかったので布を巻いて帯でとめただけの姿だ。
飛影は一瞬躊躇った後、勢いよく帯を引っ張り纏っていた布もろとも床に投げ捨てた。

色気も何もありゃしない。
顔を真っ赤に染め、言うまでもなく全裸でこっちを睨んでいる。

「…さっさとしたらいいだろう」
「まったくお前は色気がないなあ…」

言いながらも、小さな体を抱きあげた。
白く、小さく痩せてはいるが綺麗な薄い筋肉に覆われている。

すべらかな体。
胸から腹までは白い包帯に覆われていて、なかなか扇情的だ。

それに…

紅潮した頬。
輝く赤い瞳。

…悪くない。

「前言撤回だな」

飛影が何?とこちらを伺う。

「なかなか色っぽい。そそるぞ」
「ばっ…」

馬鹿とかなんとか喚こうとしたらしい飛影の口を、息も出来ないような強さで吸い上げた。
***
信じられない。

どうして。
なんだってこんなことに?

ひどく豪奢なベッドの天蓋を見つめ、オレは呆気にとられていた。
幾重もの繊細な布が視界の先に溢れている。恐ろしく高価な布。

違う。
違う。そんなことはどうだっていい。

自分でもこれは現実逃避だと分かっている。

…天井ばかり見ているのは、下を見たくないからだ。
大きく広げられた両足も、その中央に顔を埋める狐も見たくないからだ。

唇を噛みしめる。
絶対に、みっともなく声など上げたりするものか。

狐は焦らすように…もしくは自分の技巧を見せつけようとでもいうのか、すでに天井を向きかけている中心には触れず、周りの柔らかな皮膚を緩く噛んだり、吸い付いたりしている。

畜生。

たったのそれだけのことで、もうオレは息を切らしている。
自分でそこを握りしめて、達してしまいたいという馬鹿げた衝動に駆られる。

「どうした?顔が真っ赤だぞ?」

かんに障るクスクス笑いとともに、蔵馬が意地悪く問いかける。
誰が、答えるか。

「まあ、あんまり焦らしても可哀想か」

その言葉に手で直に触れてもらえることを期待して、思わず心臓が跳ね上がる。
…次の瞬間、心臓が止まるかと思った。

温かく、濡れたものに包まれる。
時々触れる硬質な感触…
…口の中、に…入れている…!?

「…っ…やめ、ろ!」

温かな口内の感触に、思わず声を上げそうになる。
下肢が熱く脈打つのが自分でもはっきりとわかる。

「…よせっ…やめ…」

やばい。このままじゃ出る…

「あああ!」

快感ではなく、痛み。
蔵馬は口に含んでいたものを離し、根元にきつく指を巻き付けている。

「あ、痛っ!なにを…っあ」

破裂しそうに膨らんだものは根元をきつく押さえられたせいで達することも萎えることもできずに、痛みに痙攣している。

「やめろって言っただろ?」

蔵馬が綺麗な顔を傾げて、意地悪く笑う。

くそ。
嫌なヤツ!

「どうした?続けて欲しいのか?」

根元を押さえる力は少しも緩めず、無邪気なふりをして問いかける。

「…っ」

触って欲しい。弄って欲しい。さっきの続きをして欲しい。

誰が。
そんなこと死んでも言うもんか。

唇を強く噛みしめて、無言で睨む。

「強情だな。この行為は素直に楽しむもんだぞ?」

クスクス笑う蔵馬の手元から、何やら植物の種が芽吹く。
小さな種から生える細い蔓のようなもの。

「っあ!」

まるで意思を持つように蔵馬が抑えていた手元に、ぎゅうっと巻き付く。
噛みしめ過ぎた唇に血の味が滲む。
ぬるりとしてそれでいて強靭な蔓が根元にきつく巻き付いた。

「…っぁ!は、外せ…」
「どうして?止めてくれって言っただろう?漏らさないように止めてやったぞ?」

体を痙攣させ身動きも取れないでいるオレを、両手が自由になった蔵馬はひょいとひっくり返す。

ベッドにうつ伏せにされたかと思えば、腰をぐっと引かれ、尻だけを高く上げた状態の四つん這いにさせられる。

「なっ…あ、よせ!」

高く上げた尻の肉を両手でぐっと開かれる。
体の最奥を見られる、燃えるような羞恥。

蔵馬は笑みを含んだ声で言った。

「こっちを先にほぐしてやるよ」
***
固く窄まったそこを、舌先でつつく。
濡れた舌で、襞のひとつひとつを確かめるように舐める。

「こんなところまで小っちゃいんだな。だが色も形も悪くない」
「やめろ!ばか、変態!…ぁ!」

逃げようともがく飛影を楽に押さえ込み、わざと卑猥な言葉を浴びせてやる。
受け入れたことのないそこは固く閉じていたが、徐々に息づきはじめる。

ヒクッ、と痙攣したのを逃さず、舌を強引にねじ込んだ。

「…っな、あ、あ!」

とうとう耐えきれなくなったかな。
それにしても強情なやつだ。楽しめばいいのに。

内側の熱い粘膜を舌で開き、指で広げてやる。
あたたかな粘膜はぐにゅりと指を締めつける。唾液を流し込み、滴るほどに濡れたことを確認してから、指を一気に奥まで突き入れた。

「ひっ!ぁああっ!」

指を一本入れただけなのに逃げようとする尻を押さえて、指を二本に増やした。

「うあ!っ痛!ぁ…」
「どうした?情けない声を出して。まだ二本だぞ」

オレは笑いながら指を抜き差しする。
恐ろしく締めつけのいいそこは、二本の指でさえ苦しそうだ。

「…しょうがないな」

ベッドサイドの小さなテーブルの上には白い実を盛った鉢がある。その実を一つ取り指先で潰す。
ヌルヌルとした液を溢れさせるこの実は、潤滑油代わりにちょうどいい。一度指を抜き、狭くきついそこにたっぷり塗ってやる。

「あ、…っあ、痛…い。やめ…」

その言葉に構わず、ぐちゅっ、という音とともに指を強く動かす。

「あああ!」

崩れ落ちそうな腰を支えてやり、ほぐすように、腸液と潤滑油を塗りこめるように指を動かす。

指先に、コリッとしたしこりのような箇所を見つける。

ここだな。
そこを爪の先で軽く引っかくと、飛影は背を大きくしならせて叫んだ。

「うぁあ!」

縛られた前が、ビクンと大きく痙攣する。

「あっ、あ?…な…なんで…こ、んな」

しこりを引っかかれる度に、突き上げているであろう快感に困惑を隠せないでいる。

「なんだ?自分で指を入れたこともないのか?ここがイイ所だろう?」

強く、そこを揉む。
と同時に、根元を縛る蔓をほどいた。

「ぁああああっ!」

光沢ある紺色のシーツに、白液が弧を描いて飛んだ。

「あ…ぁ…」

快感の余韻に体を痙攣させる飛影をまたもやひょいとひっくり返してやる。
目を合わせまいと、真っ赤になった顔を背ける。

「もぅ…よせ…ぁ…」
「何言ってるんだ?ここからだろう?」

逃れようと必死になり、蹴り上げようとしたらしい足を反対につかむ。

「離…せ!嫌だ!」

両膝の裏に手を入れ、腿が胸につくほど足を広げさせる。
足を肩にかけ、薄い尻の肉もぐっと左右に引っ張るようにして開かせた。

「やめろ!」

羞恥のため上げた悲鳴は、いつもの声とは似つかず甲高い。

「いい眺めだ」

見下ろす先には、大きく開かれた足。
一度達した陰茎は白液にまみれて萎えているが、小さな後孔は流れ出した腸液と潤滑油にぬらぬらと光り、ヒクヒクと紅色の肉を覗かせている。

濡れたそこに親指と人さし指を捻じ込み、上下に開く。

「っあ!ひ、ああああぁ!痛っう!」

小さなそこは縦に大きく口を開け、濡れた内部は誘うように収縮を繰り返している。
そこにオレは、三本の指を同時に突っ込んでやる。
痛みに体を強ばらせ飛影は苦鳴をあげた。

やれやれ。
どうやら本当に初めてらしい。
指でこれじゃあ、オレのを挿れたらきっと気絶するだろう。

「…ま、しょうがない。最初は痛いもんだからな」
***
声を上げまいとしていた決心などどこへやら、オレはさっきから苦鳴としか言えない声をみっともなく上げている。

ぐちゅ、という音がして、三本の指が別々の場所を押す。

ひっかくように。
揉むように。
押し広げるように。

強烈な感覚。
指を入れられた直腸が、大きく収縮するのが自分でも分かる。

窄まる。
開く。

後孔が開くたびに温かな、ぬるつく腸液が尻へ流れ出す。

「もっと声を出せ。力を抜いて声を出せばだいぶ楽になるぞ」

笑いを含んだ声音で言われた、蔵馬の馬鹿馬鹿しい忠告は何の役にも立たない。
全神経がそこを押し広げる長い指に集中してしまう。

指の形。
指の長さ。
直腸を揉み解す指の力。

痛い。
痛くてたまらない。

ぬるぬるする液体を塗られたせいで擦り切れるような摩擦感はマシになったが、内臓を蹂躙する痛みと圧迫感に吐き気が込み上げる。

「く、らま…やめ…苦し…吐きそうだ…」

冗談でなく吐きそうだ。
胸元まで込み上げた胃液を必死で押し戻す。

「しょうがないな、まったく。いつもの我慢強さはどこへいったんだ?」

その言葉ともに指が抜かれ、体が起こされる。
ホッとする間もなく、美しい狐と向かい合うような形で膝に乗せられた。

何か、腹に当たる…。

下を見たオレは、今度こそ本当に吐くところだった。
冗談としか思えない、蔵馬の陰茎がそこにあった。

あれを?
挿れる?
どこに?
オレの体内に?

硬く勃ち上ったそれは、ぞっとするような太さだ。
大きく裂けた後孔から赤い内臓がこぼれ落ちる様が瞬時に目に浮かぶ。

「…無理だ、絶対に」

みっともなく体が震え出す。

「まあ最初は痛いさ。だがオレにまかせろ」

まかせろ?
何を言ってるんだこの馬鹿な狐は。

「嫌だ!!」

嫌だ嫌だ嫌だ!
冗談じゃない!

渾身の力を込めて蔵馬の腕を振りほどこうとしたがビクともしない。
それどころか押し倒され、先ほどまでの大股を開いた状態に戻される。

「仕方ない。座位の方が顔がよく見えていいんだが」

基本の姿勢の方がお前にとっては楽だからな、とかなんとか恩着せがましい言葉が聞こえる。

本当にあれを挿れられてしまうのか?
まさか、絶対無理…。

後孔に、熱い塊が押し当てられた。

「ヒッ!うあ!」

入る、わけない。
嫌だ嫌だやめてくれ!

「あああ!」

狭い穴を押し広げ、硬い先端が体内に入ってきた。

激痛に背がしなる。
指とは比べ物にならない痛み。

「まだ先端だぞ。息を吐け。力を抜くんだ」

そう言いながらやつは、萎えた陰茎や乳首を弄る。
その刺激に、ほんの少し体の力が抜けた途端…

「いい子だな」

そう言いながらオレの足を抱え直した蔵馬は、オレの体内に屹立したものを力いっぱい押し挿れた。
***
「アアアアァアアア!!」

苦痛の絶叫。

のろのろ挿れても痛みは増すだけだ。
そう思って一気に押し込んだが、下肢からグジュッという音がし、皺一つなく広がっていた後孔が大きく裂け、血がどっと溢れ出すのがわかった。

…あれほど濡らしたのに、狭すぎるんだな。

「ヒッ、ア、痛ぅ!アアアアアア!」

飛影が激痛に耐えきれずに叫ぶ。
輝くような赤い瞳から涙があふれてベッドに落ちる。

…こいつには血がよく似合う。
苦痛に歪む表情が、またそそる。

血を溢れさせる結合部が、グチュグチュと卑猥な音を立てる。
痛い、やめてくれ、抜いてくれ、と飛影は真っ青な顔で泣き叫び苦痛に身をよじる。あまりの痛みに気を失うこともできないらしい。

どうにかして異物を抜こうと萎えた下肢を必死で動かすが、一度納まったものはそうそう抜けない。

どうやら予想以上に痛みはひどいらしい。
とはいえ途中で止めるものでもない。
オレは勝手な解釈をし、血のぬめりを借りてゆっくりとした抜き差しを始めた。

「ぐっう、うあ!ァアア!」

快感を引き出すよう、できるだけゆっくりと動かす。

「…ぅああ!…あっ、い、たい…ああああっ!」

ゆっくり、浅く動かす。
苦痛に慣れ始めるのを見計らい、少しづつ奥を突いてやる。

「…ん…あっ!やめ…あ…」

まだ苦痛は強いようだが、徐々に痛み以外のものも感じて始めている。固く閉じられていた瞳がゆるゆると開き、ぼんやりとオレを見る。

苦痛に青ざめた顔も、泣いているせいで濡れた赤い瞳も、叫びすぎで擦れた声も、やけにオレを興奮させた。

凄まじく締めつける穴を、浅く、深く、穿つ。

「ん…ぁあ…」

ようやく甘い声が漏れる。
萎えた陰茎を手でしごいてやると、真っ青だった頬に少し赤みが戻り快楽に目が潤む。

「あ…う…」
「オレの背に、手をまわせ。尻の力を入れたり抜いたりするんだ」

驚いたことに、素直に背に手がまわされる。
髪に指を絡め、ぎゅっとしがみついてくる。

「いい子だ」

言うことを聞いたご褒美に、先ほど見つけておいたいい場所を、強く突き上げた。
***
味わったことの無い激痛。

後孔に焼けた杭でも突っ込まれたかのようだ。
内臓全部を口から吐き出すのでないかと思うような圧迫感。

「アアアアァアアア!!」

自分の意思とは関係なく体が弓なりにのけ反る。
無理にこじ開けられた入口が、グジュッというおぞましい音と同時に大きく裂けたのがわかった。

「ヒッ、ア、痛ぅ!アアア!」

自分の声とは思えない甲高い悲鳴。
溢れた血が尻を温かく濡らす。

痛い!やめてくれ!抜いてくれ!

自分が何をわめいているのかもよくわからない。
内臓が破裂しそうな激痛に我を失って泣き叫ぶ。
体内の異物から逃れようと体を上へとずらすが、そんなことでは熱い杭は抜ける気配もない。

それどころか血のぬめりを借りて、異物は抜き差しを繰り返しながらより奥へ奥へと侵入する。

恐ろしい程の圧迫感と鋭痛。

「…ぅああ!…あっ、い、たい…ああああっ!」

何度も何度も繰り返される抽送。
これ以上声を出すまいと唇を噛みしめていても、あまりの痛みに次の瞬間にはみっともなく声が漏れる。

「…ん…あっ!やめ…あ…」

蔵馬の手が、痛みにすっかり萎えた前を巧みにしごく。
あの、きれいな長い指が信じられないほど卑猥に動く。

「ん…ぁあ…」

強い痛みが薄れ、奇妙な感覚が湧き上がる。

なんだこれは…。

深く浅く穿たれる度に、下肢に痛みだけではなく、とろけるような感覚が広がる。
摺り上げられるたびに内臓がビクビク震える。

痛…い、でも…
気持ち…いい?
まさか…

「あ…う…」
「オレの背に、手をまわせ。尻の力を入れたり抜いたりするんだ」

何かにしがみついていないと気が狂ってしまいそうで、言われた通りに腕をまわす。
広い背にまわした腕は届ききらなくて、滑らかな銀糸に指をからめる。

「いい子だ」

蔵馬の笑いを含んだ声。
それをいまいましく思った瞬間、腹の中の異物が角度を変えて突き込まれた。

「ア…ッアアア!」

目の前が真っ白になる。
下腹が大きく波打つ。
脳が…とける…

「…ッアア!…ッアア!…ッアァ!ん!」

繰り返し、繰り返し同じ箇所を突かれる。
とっくに固く勃ち上っていた前から、またもや熱い液体が噴き出す。
意識が遠ざかりそうになったところを、そうはさせまいとでもいうようにさらに強く深く異物が穿つ。

「ひっ、あ、苦、しい…もう、やめっ…」

気絶する事もできず、放出の快感に酔う暇もなく、最奥を力強く突かれる。
凄まじい快感。
だが同時に間違いようのない苦痛もある。度を超えた快感に恐怖すら感じる。

「苦しい?そんなことはないだろう?」

意地悪い笑み。
こっちは発狂寸前だというのに、蔵馬はうっすら汗を浮かべているにすぎない。

「もう、無理…っ」
「そうは見えないがな?」

揶揄するような声に促され、見下ろせばしょうこりもなく勃ちあがったそこが見えた。

「な…?」
「まだまだ足りないってことだろう?」
「…違う、あ、アア!」

腸が破れるのではないかと思うほどの突き上げに体が痙攣し…

「…ッアア!アァアアアア!」

体内の精を搾り出すかのように、熱い液体が噴出する。
同時に体内の異物からも、熱い液体がどっと流れ出すのを感じた。

「う…ぅあ…」

腹の中が熱い。内臓が溶けてしまいそうだ。
腹に納まりきらなかった液が、くぷっ、と音を立てて後孔から流れ出す。

気が、遠く…

「…お前を生かしておいたのは、我ながらいい選択だったな」

気絶する前に聞こえた声は、満足げな笑いを含んでいた。
***
気を失った体から、ぐちゅりと音を立てて引き抜く。
血と一緒にたらたらと白い液を流すそこは、まだ時折ヒクッ、と痙攣していた。

ベッドは精液と血に汚れ、淫靡な匂いを漂わせている。

オレはクスクス笑いながら身を起こした。
気を失った飛影の汗びっしょりの顔を撫で、髪をかき上げてやる。

…いい拾い物をした。
これまで抱いた者の中でも最上の部類に入る。

体の具合もいいが、あの強気な態度が崩れて苦痛と快楽に歪むのを見るのは何よりもそそられる。

羞恥に震える声も、苦痛の悲鳴も。
快楽の果てに上げる嬌声も。

素晴らしい。
まったくもって気に入った。

オレは機嫌よく立ち上ると、浴室へ行き湯を満たした。

いつもならオレは後始末などしてやらないのだが、シーツを染めた出血の量を考えるとそうもいかなそうだ。

これほど気に入った者を放っておけはしない。
風呂に入れて手当てをしてやろう。

ぐったりしたままの飛影を抱き上げ、珍しくやさしい気持ちでそう思ったのに。

裂けた傷を手当てしているうちに妙な気分になり結局浴室でもう一回戦、ということになったのは予想外だ。
前のページへ次のページへ