恋する季節
泣き声が、する。
その赤ん坊の泣き声に、蔵馬は目を開けた。
蔵馬よりもずっと音に敏感なはずのネコ族の飛影は、今夜に限ってすうすう眠っている。
自分の腕の中で丸くなり、気持ち良さそうに眠っている飛影に思わず頬を緩めた蔵馬は、次の瞬間またもや聞こえた泣き声に表情を強ばらせた。ベッドからそっと起き上がろうと…
「…ぅにゃ……蔵馬?」
「ごめん、起こしちゃった?なんか、外から赤ちゃんの声みたいな声が聞こえ…」
誰かを呼ぶような、悲しげな、切ないその声。
窓の外から聞こえたその声に、なんだ、と飛影は大あくびをし、もそもそと布団に潜り込む。
「…くだらんことで起こすな。あれは猫だ」
「ネコ?」
「ネコ族じゃない。本当の猫だ」
発情期だろ。あんな風に人間の赤ん坊みたいな声で発情期の猫は鳴くんだ。
そんなことも知らなかったのか?
眠そうに言うと、飛影は蔵馬の胸に再びピタッとくっつき、もう寝息を立て始めた。
「そっか…猫か」
言われてみればそうだ。これは猫の鳴き声だ。
この一軒家に住む以前は、高層階のアパートで暮らしていた。だから飼い猫にしろ野良猫にしろ、家の中で声を聞いたことなどなかったのだ。
「…発情期か」
猫も恋する季節なわけだ、と蔵馬は呟くと、眠ってしまった自分の恋人であり家族でもある飼いネコを抱き寄せ、一緒に眠りに落ちた。
自分が“ネコ”を飼っていることなど、すっかり忘れて。
***
一週間後。
「ただい…」
スタッ、スタッ、ぴょーん。
ネコらしい身軽で華麗な3ステップで跳躍し、飛びついてきた飛影に蔵馬はひっくり返る。
「わあっ!」
いくら飛影が軽いとはいえ、勢いをつけて飛びつかれてはたまらない。パジャマ姿の飛影を抱きかかえ、蔵馬は玄関に派手に尻餅をつく。
小さな体は、いつも以上にいやに温かく感じられる。
「な、何?どうしたの?」
「…別に」
おかえりのお出迎え、などしてくれたことはないのに、と蔵馬は面食らう。
買い物袋を放して自分を受け止めてくれた飼い主に、飼いネコは別に、などとしれっと言い、それでも上機嫌なしるしにしっぽは大きく左右に振られている。
「別に、ってことないでしょうが…」
「遅い。腹が減った」
外で仕事の打ち合わせを終えてきた蔵馬の腕時計は、五時半を指している。
二人の夕食は大抵七時頃だから、遅いということはない。
「お腹空いたの?」
「ああ」
「そっか。すぐ作るよ」
蔵馬の上から降りた飛影は、何事もなかったかのようにスタスタとキッチンの方へ行ってしまう。
白いパジャマのお尻から伸びた、長く黒いしっぽを振りながら。
そのしっぽや黒いネコ耳が湿っていることに気づき、蔵馬は首を傾げる。
どうりでやけに体が温かいと思ったら。飛影がこんな時間に風呂を終えているのはめずらしい。いつもは蔵馬に言われて面倒くさそうにしぶしぶ風呂に入るのに。
「…変なの」
落っことした買い物袋の安否を確かめつつ、蔵馬は呟く。
今夜は魚や貝を煮込んだトマトシチューを作るつもりだったが、変更だ。
手早く作れる物を、飼いネコに食べさせてやらねば。
***
「えー?もうおしまい?」
冷凍してあった自家製クリームソースにエビと缶詰のきのこを乗せた簡単なドリアだが、味は悪くない。なのに、飛影は半分も食べないうちに、スプーンを置いた。添えられたコンソメスープも、ほとんど食べていない。
それどころか、自分の視界からどけようとでもいうように、横へ皿を押しやった。
「お腹が空いてたんじゃなかったの?」
「もういい。いらん。…なんだか…気持ちが悪い…」
え?と蔵馬は慌てて飛影の額に触れる。言われてみれば、飛影はだるそうにくたりと黒い耳を垂らしている。
「飛影、熱、あるじゃない」
白い頬はぽわんと赤くなり、とろんと眠そうな、その顔。
体が温かいのは風呂上がりのせいかとさっきは思っていた蔵馬だったが、飛影はどうやら熱があるようだ。
額、頬、唇、ふわふわの耳。
普段から人間より体温は高めのネコ族だが、今日は一層熱い。
「具合が悪いの?言えばいいのに。ごめんね、ミルク粥にでもすればよかった」
今日はもう、寝よう。
ここだけ片付けたら俺も行くから、先にベッドに行ってて。
そう言って蔵馬は食器を片付け始める。
だが、飛影は動く気配はない。
「どうしたの?ベッドまで連れてってあげようか?」
「……待っててやる。ここで」
尊大に言い放ち、椅子の上で膝を抱えて睨む赤い瞳。
待っててやる、という偉そうな言葉を、耳もしっぽもたらっとさせて、ぽわんと赤い頬で言われては参る。
無意識なのだろうが、一つひとつの仕草で、行動で、蔵馬を夢中にさせる、困った飼いネコ。
「…はいはい、降参」
蔵馬は両手を上げると、残った夕食の皿に蓋だけをかぶせたテーブルをそのままに、飛影を抱き上げた。
***
「明日になっても熱が下がらなかったら病院に行くからね」
蔵馬の言葉を聞こえないふりをして、ベッドの中で飛影は丸くなる。
同じようにパジャマに着替えてベッドに入った蔵馬だったが、抱き寄せた飛影はますます熱くなっている気がして、眉をひそめた。
「大丈夫?熱が下がらなかったら病院だからね、飛影」
「…うるさい」
蔵馬の胸元にすり寄り、顔を埋めながら、くぐもった声で飛影は毒づく。
「ねえ、仰向けになってよ」
冷たい水で絞ったタオルを額に乗せてやろうと蔵馬は用意していたのだ。
「そんな冷たい物、いらん」
「いらんって…気持ちいいよ、冷たくて」
「いらん!」
手からタオルが叩き落とされる。
飛影のわがままには慣れている。蔵馬は溜め息をついてタオルを拾い、ベッドの側のサイドテーブルに投げた。
「わかったわかった。もう寝よう。おやすみ」
「……もう寝るのか?」
不満そうな、顔。
どこでも、いつでも寝るくせに、ネコ族は基本夜更かしなのだ。
「寝るの。おやすみ、飛影」
唇を、重ねる。
おやすみのキスのつもりだった蔵馬は、飛影の温かな舌が自分の口に潜り込んできたことに驚いて目を開けた。
「ちょっと、今日はだめだよ…寝なくちゃ」
「……」
むくれるネコを腕の中に納め、蔵馬は髪を撫でてやる。
ネコが眠りにつくまで、やさしくゆっくりと。
大きな赤い瞳が、閉じるまで。
***
…みゅう。
また、あの鳴き声だ。
本当に、赤ん坊の泣き声に似ている。
…みゅうぅ…アア…。
苦しそうな、切なそうな鳴き声。
この間の晩よりも、いやに近くに、鮮明に聞こえる。
まるで、この部屋の中から聞こえるみたいに。
「……?」
何、か。
膝のあたりに…
自分の左膝、曲げられたそこに何かが…
「みゅ…みゅうう…」
「…ん、ひえ、い…?」
ようやく鳴いているのが飛影だと気付き、ハッと目を開ける。
具合が悪いのを訴えていたのを気付かずに寝ていたのかと自分を責め、慌てて腕に抱いた飛影を確認した蔵馬は、声も出せないほど仰天した。
なぜって…
「みゅ…あ……」
腕の中の飛影が、自分の左膝を両足でしっかりと挟み、股間を押しつけ必死で腰を動かしているのを見つけたからだ。
***
蔵馬の背にきつく腕を回し、目をぎゅっと閉じたまま飛影は腰を振る。蔵馬の膝に擦り付けているそこは、パジャマの上からの刺激なのに、すでに硬く勃起していた。
「みゅううん…」
小さく開いた口から、赤い舌がちらちら覗く。
目を閉じ、頬を染めて、無意識の自慰にふけるその姿に、蔵馬は絶句したまま、ごくりと唾を飲み込んだ。
「ひ、えい…?」
「みゅ…みゅ…」
飛影が鳴いた。
いつもとは違う声。
その声、赤ん坊の泣き声のような…ネコの鳴き声。
本当に無意識らしく、腰の動きは止まらない。
それどころか、更に強く押し付け、動きを激しくする。
「飛影!」
「……みゅ…?」
真っ赤な瞳がパチッと開く。
小さな口を開けたまま、一瞬ポカンとした後、布団をはね飛ばしガバッと起き上がった飛影を、蔵馬はどうにか捕まえた。
「どこへ行くの、飛影」
「は、放せバカ!! 放せっ!」
熱い体。
しっぽや耳はピンと張りつめ、息を荒げたその体。
「ねえ…今、何してたの?」
「…うるさい!黙れ!! 何もしてない!」
飛影の赤い瞳はすでに潤んで、寝室の僅かな光に煌めく。
蔵馬の意地の悪い質問に、顔は真っ赤になっている。
「ねえ、飛影…具合が悪いんじゃないんでしょ…?」
「……」
「何を、したいの?」
「……」
「セックス、したいんだ?」
「…!! 黙れ!黙れ黙れ黙れ!」
飛影は真っ赤な顔のまま、怒りを称えた赤い瞳でギロッと蔵馬を睨み、ベッドから飛び降りようと…
「うにゃあっ!?」
しっぽをつかまれた拍子に、尻がぐっと強ばる。
どうやら“感じた”らしい。
「おいで、飛影」
「断る!放せ!」
「おいでよ」
「……ア!」
飛影の瞳はまだ怒りを宿してはいたが、しっぽの付け根をもう一度ぐいっとつかまれると、たちまちふにゃりとベッドに崩れ落ちる。
「みゅ……」
「具合が悪いんじゃないって言えばいいじゃない」
「……ぅるさ…」
「ネコは素直にワガママに、でしょ?」
それは飛影の妹ネコの雪菜の口癖だ。
蔵馬の唇が飛影の頬をかすめ、唇をぺろりと舐めた。
「……っん」
「おいでよ、君は俺のネコだろう?」
俺がちゃんと、面倒みてあげる。
黒い耳にそう囁き、蔵馬は飛影を抱き上げた。
***
パジャマを脱がされることに一瞬抵抗を見せた飛影だったが、蔵馬に素早く押し倒され、素肌を晒す。
「みゅ…っ」
下着の内側は濡れていて、すでに何回か達した跡があった。
俺が寝てる間に何回したの?などと聞けば、今度こそ飛影は飛び出して行って帰ってこないだろう。
それをわかっている蔵馬は黙って足を大きく開かせ、まだ濡れているそれを口に含む。
「あ、あ、…みゅううん」
精液を舐めとるようにぐるりと舌でなぞり、時折甘噛みしながら、育ててやる。
棹やその下のやわらかい二つの袋も、時折口に含み、愛撫してやる。そうするとあの泣き声のような声はひっきりなしに漏れ出した。
「みゅうん、みゅ、みゅ…」
赤ん坊の泣き声によく似たその声に、なんだかひどいことをしているような錯覚も一瞬起こすが、ビクビク跳ねるそこは明らかに悦びを示していて。
「ん、ふ…みゅううん」
目を閉じ、頬を染め。
耳としっぽ、それに髪は真っ黒なのに、飛影の肌は真っ白といってもいいくらい、白い。
ネコ族がみなそうなのか飛影だけがそうなのかはわからないが、無毛の股間でそそり立つものはピンク色で、蔵馬の口の中で気持ち良さそうに震えている。
「あっあっ…みゅうううっ、みゅう!」
前歯で軽く鈴口を噛むと、トクッと温かな液が噴き出し、小さな体が跳ねた。
「みゅう!あああっ…!」
出されたものを飲み干し、芯まで搾るように、蔵馬はきつく吸ってやる。
「みゅう!みゅ……」
ふるふると痙攣する体をうつ伏せに返し、蔵馬は背中に口付けた。
***
しっぽというのは尻に付いている物であり、それはネコ族も同じことで。
そして飛影の快楽の入り口は、そのしっぽのすぐ下だ。
しっぽを引っ張られる度に尻肉も一緒に引っ張られ、入り口はヒクリと動く。
四つん這いにした飛影を焦らすべく、たっぷりと時間をかけて耳や乳首を愛撫した蔵馬は、せわしなく喘ぐ飼いネコの下半身にやっと手を伸ばした。
しっぽを片手でつかみ、グッと引く度に入り口がヒクヒクする様子を蔵馬はつぶさに観察する。
黒猫は尻を高く上げ、飼い主の左手はその股間をぐちゅぐちゅとしごき、右手はそれに合わせてしっぽを上へと強く引く。
そのたびに縦長に襞を歪ませる入り口は卑猥で、蔵馬は何度でもそれを繰り返す。
「にゃ、みゃあっ…みゅうん…」
次に進んで欲しいとねだるかのように、飛影の白い尻がもぞもぞと動く。
「みゅう!みゅっ!みゅっ!あ、も、もう…」
触れても、舐めてもいない入り口が、とうとう自らぬるりと腸液を流し始める。
「あっ、あ、あ、あ…みゃ…」
我慢できなくなったのか、飛影はベッドに顔を埋め、自分の右手を後ろに回し…
「みゃあああ!」
「あれ?もしかして自分の指をお尻に入れるつもり?」
クスクス笑う蔵馬に、飛影の右手はあっさり止められてしまう。
「みゅ、みゃああぁ…」
「そんな恥ずかしいこと、しないよね?」
自分で自分のお尻に指を入れて、かき回すなんて。
俺のネコがそんなことをするはずないよね…?
覆い被さるようにして耳の中に囁かれた言葉に、飛影は羞恥と怒りで真っ赤になる。
「放せ…!お前…なん、か嫌いだ…!」
「嘘ばっかり。俺に何をして欲しいのか言ってごらんよ」
こんな会話は所詮睦言なのに、このネコはいつだって本気にして怒ったり真っ赤になったりする。
それが飼い主をますます喜ばせることだとわかっているのかいないのか。
「ん…あ…みゅうぅ…」
「ほら、何をして欲しいの?」
まだ、指さえも入れてもらっていない。
飛影のそこは、ヒクヒクと口を開け、赤い粘膜を覗かせ始めているというのに。
「あれ?下のお口が開いてるみただけど?」
「……!ってない!開いてない!」
必死で頭を振って否定するネコに、思わず蔵馬は微笑んだ。
「開いてるよ、だって…ほら…」
「うあ!うにゃああ!!な!アアアアッ!!」
挿入されたのは、蔵馬の指でも陰茎でもなく…
「かーわいい。輪っかみたい」
「あ!うああ、あ、あ、うあ!嫌、だ…!!」
温かくて弾力のある、ふわふわした毛の生えた、自分のしっぽ。
それを尻の穴に押し込まれ、飛影の腰はビクッと大きく跳ねる。
「あ!あああっ!バカっ…!」
おまけに。
おまけにしっぽの方でも熱く締め付ける筋肉の感触に、戸惑っている。
挿入を待ち望んでいた穴は、しっぽをきつくくわえ込み、放さない。
必死で引き抜こうとする飛影の手をぐいっと押さえ、蔵馬はさらに信じられないことを言う。
「出してごらん。自分でお尻に力を入れて、お尻の穴を開いて、押し出すんだよ」
「なっ…!っこの、変態…っ」
「ふーん、お尻に輪っか付けてそんなこと言うんだ?」
「!…嫌、あ、みゅうっ!嫌だ!ア!」
慣らされた体の悲しさ。
飛影の穴は、自分のしっぽだというのに、奥へ奥へと引き込もうとぐにぐにと蠢き始める。
「ア、ア、ア!ミュウウッ!」
「あーあー。どんどん奥に入っちゃうよ?」
「いや…だ…嫌…みゅ…」
その声に、先ほどまでとは違う響きを感じ、蔵馬は慌てて飛影の顔を覗き込む。
悲しげに、悔しそうにいっぱいに涙を溜めている赤い瞳。
怒りや羞恥というよりは、失望感を映す瞳。いつも強気な飛影らしくない。
発情期は精神的にも上手くコントロールができないらしい。
「ごめん…飛影、ごめん!」
「嫌、だって…言って、る、だろ…」
「ごめんなさい!意地悪しました!謝ります」
そっと、ゆっくりと蔵馬はしっぽを引き抜いてやる。
「あ!みゅううっ……」
ちゅぽん、と濡れたしっぽが抜かれ、飛影はぐたりとベッドに伏せる。
小さな体をやさしく抱きしめ、ごめんね、と蔵馬は耳の中に囁く。
「ごめん……ここからは安心して、俺にまかせて…」
***
「みゅう…みゅう…っ」
尻の穴を指で弄られ、悦ぶ自分をいまいましく思いつつも、漏れる声を飛影は止められない。さっきまで意地悪くいたずらされていた分、やさしい愛撫がひどく嬉しく、気持ちいい。
「あ…あん…みゅううん…」
狭い入口をゆっくり慣らし、少しづつ広げる指。
くちゅくちゅと指が抜き差しされる度に、飛影の呼吸は荒くなる。
「あ!みゅ!みゅ!も、う…」
「もう痛くない?大丈夫そう?」
やさしい声に、飛影はいつになく素直にこくんと頷く。
四つん這いのまま腰を持ち上げられ、足を一層大きく広げられる。
濡れた入口に押し付けられる熱いもの。
「飛影…入れるよ…」
「みゅ…ン!んんっ!」
ぐちゅっ、と音を立てて襞は開き、温かな肉の中に蔵馬をずぷりと迎え入れる。
「……あ……ん」
自分の体内を貫く肉棒に、飛影は甘い吐息を漏らす。
気持ち、いい。
朝からずっと、体が熱くておかしくて、この時をずっと待っていた。
もちろん蔵馬にはそんなことは絶対に、絶対に言わないが。
「みゅううん!みゅ!みゅ!あ、アアアア!」
ズッ、と肉棒がギリギリまで抜かれ、次の瞬間には最奥まで激しく叩きつけられる。
「ア、ア、ア…」
飛影、とか、愛してるよ、とか、そんな言葉が聞こえていないわけではないが、飛影は聞こえないふりをし、ひたすら下肢に与えられる快感に没頭する。
突かれる度に、内壁を擦り上げられる度に、脳が溶けてしまいそうに、気持ちいい。
「ア、ア、ア…そこ、ア、ミュウ」
「…ここ?」
前立腺の硬い部分をゴリッと擦られ、飛影の背がしなる。
「ミュウ!アアアアアッ!ア、そこ…いや、だ…」
「嫌って…気持ちいいんでしょ?」
「ン…アアン…ん」
気持ち良すぎて、こわい、などと言えるはずもなく。
ただ喘ぎ、頭を振る。
「うあっ!みゅあああ!」
ぐいっと起こされ、膝の上に抱き上げられる。
背面座位の体勢は自分の体重も貫かれた部分にかかってしまう。
直腸をぐりっと抉られ、飛影は思わず悲鳴を上げて吐精した。
「うあっ、あ!あ!みゅあん!」
「よしよし、いい子だから力を抜いてね…」
グッと腰を突かれ、前を弄られ、また勃起する。
首筋を舐められ、また肉壺を擦られ、また吐精する。
飛影の体は、複数の快感、過ぎた快感にがくがくと震えた。
「くらっ…も、おかし、く…なるっ…」
尻の中が熱くて熱くて、出しすぎた前はもうひりひり痛くて。
「じゃ、あ…今度は一緒に、ね…」
挿入してからずっと続けている激しい抜き差しに、蔵馬の声にも、もう余裕はない。
「みゅあ!痛っ!ウアアアアアアッ!!」
股関節が外れる程に股を広げさせ、蔵馬は力一杯、飛影を貫いた。
飛影の白は、蔵馬の手の中で、
蔵馬の白は、飛影の腹の中で、
飛び散るように、花を咲かせた。
***
「……ふ、みゅぅ……」
情けない声を上げ、飛影はぐたりと身を預ける。
背中から抱きしめられ、蔵馬の熱と吐息を感じながら。
「あー、気持ちいい…」
その身もフタもない言葉に、飛影がガリッと爪を立てる。
「いてっ!」
「バカ!お前なんか…!ひっ!」
萎えていた前をつかまれ、思わず声を上げる。
「放せ!痛い!」
「ねえ、俺の所に来る前はどうしてたの?」
「何がだ!痛いって…」
先端を親指でぐりぐり押され、痛いような、……気持ちいいような。
「発情期、なんでしょ?寮ではどうしてたの?」
「……」
飛影が、再び赤くなる。
「ねえ、どうしてたの?」
「…………初めて、だ、から…」
「…え?」
後ろから抱きしめている飛影の顔はよく見えない。
俯いて、ぼそっと言われた言葉を、蔵馬は聞き返す。
「初めて?」
「………ネコ族は……つがいの相手、が、いる時にしか…」
つがいの相手がいる時にしか、ネコ族には発情期は来ない。
そう言ってるのだと気付き、蔵馬は破顔する。
「ほんと?じゃあ、俺を…」
「うるさい!!」
「あー、もうどうしよう。こんなに幸せでいいのかな俺!」
その言葉に、飛影は吹き出す。
「バカじゃないのか、お前…」
「なんとでも。ねえ、まだ九時だよ。もっとする?」
目を輝かせる蔵馬。
する?も何も、もうすでに飛影を仰向けに押し倒し、胸元に唇を這わせている。
「……させてやる」
蔵馬の長い髪に指を絡め、頬を染めたままの黒猫もまた、夜に飛び込んだ。
...End.
70000キリリク「属性:蔵飛・糖度:甘口・制限:23禁」
かなで様よりリクエストいただきました!
ありがとうございました!(^^) |
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