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トン、と軽い音を立てて窓枠に降り立った彼に驚き、急いで瓶を隠したが遅かった。

やれやれ、彼の気配に気付かないほど熱中して眺めていたらしい。
クローゼットの扉を慌てて閉めたオレに、咎めるような声が問う。

「何を隠した?」
「飛影、来てくれたんだ。嬉しいな」

にっこり微笑んで抱きしめると、あっさりと振り払われた。

「ごまかすな」
「ケガしたの?」
「…ケガしてなきゃ来ちゃいけなかったのか」

なら、帰る。邪魔したな。と、機嫌を損ねて窓枠に足をかけた彼を、慌てて抱きしめる。

「まさか。嬉しいだけ」

ケガでもしないとあなた来てくれないじゃない?オレに会いに来てくれたなんて感激だな、とオレは笑う。

それに、と耳元で囁く。

「どこもケガしてないなら、今日は好きなだけできるね」
「っな、何言ってんだ!」

真っ赤になって怒る飛影に笑いかける。

これでも気使ってるんだよー?
傷に触らないようにヤルのって結構大変なんだから、という言葉に、 帰る!離せ!と喚く飛影の唇へキスを落とした。

ゆっくりと舌を差し込むと、もがいていた体がだんだん弛緩する。

良かった。ごまかせたみたいだ。
もう飛影はクローゼットの中に隠した物のことは忘れている。

子供なんだから。
気付かれないように、オレはくすっと笑った。
***
「ふ…ああっ…んぁ!」

枕をあてがい、腰を浮かせて大きく開脚させた両足の間で、オレは「奉仕」していた。

キュッと閉じている穴に舌を這わせ、襞をなぞる。
ほんの少し緩んだ隙に、唾液を流し込んでやる。
内壁が収縮し、オレの舌を奥へと誘い込むように蠢く。

「ああっ…もう…っ、やめろ!」

飛影は声を上げてオレの長い髪をひっぱる。
ヒクヒク痙攣する穴に、今度は指も差し込み、中を弄る。

「もう?先に一回イかせてあげたでしょ?もう少し楽しもうよ」

飛影の抗議の声も聞かず、腸液が滴り落ちるまでじっくりと掻き回した。

「…っ!ああぁっ…!」

赤い瞳が潤み、泣く寸前のような表情になる。
もう、そろそろいいかな。

オレは片手で軽々と飛影を抱き上げ、対面座位の形になるよう座らせる。
起き上がらされた反動で、赤い瞳を潤ませていた涙がこぼれ落ちた。頬を伝い落ちる液体を、思わず凝視した。

カツーン、という硬質な音が部屋に響く。

初めて見た時は本当に驚いたが、 何度も見た今でさえ、驚きを禁じえない。

氷泪石だ。

カツンという音がさらに重なる。
床に転がる氷泪石をまじまじと見つめていると、鋭い痛みが頬に走る。

ひっかかれた。

あ、そうだ指入れたままだった。
無意識でもイイ所を掻き回していたらしく、 流れ出た腸液で手のひらまでぬらぬらしている。

おかげで飛影の体は痙攣を起こしていた。

「ごめんごめん」

と、涙目で睨む飛影に笑いかけると、小さな体を持ち上げた。

「行くよー?」

ち、ちょっと待て…という声をさえぎるように、持ち上げた体を自分の上に落とした。
***
カラン、カラン。

今日の収穫の石を瓶に納める。

瓶の半分程を満たす輝き。
至高の宝玉、氷泪石。

彼もまた妹と同じくこの石を生み出せる事を知った時は、心底驚いたものだ。
雪菜の造った石も見た事があるが、蒼みを帯びた、氷の輝きを持つ氷泪石だった。

瓶から一つ取り出し、明かりにかざし、眺める。

純血の氷女と違い、半分しか血の流れていない飛影の造る氷泪石は、蒼みではなく、薄い紅色を帯びている。 元々氷泪石は希少な石だが、薄紅色など元妖狐であるオレですら知らない石だ。この石の価値ははかりしれないだろう。

初めて見た時、驚くオレに、飛影は真っ赤になって、そんな石捨てろ、と言っていたが。
彼にとっては泣く事自体が恥ずかしくてしょうがなく、見るのも嫌な石なのだろう。

おそろしく高価な石であることは間違いないが、オレにとっては金銭的価値などどうでもいいことだった。

彼の涙で造られた石だ。
例えガラス玉だったとしても、 オレにとってはどんな宝玉にも勝る価値がある。

ぐっすり眠っている飛影を見つめて微笑む。

瓶を元通りクローゼットにしまいながら、こらえ切れずにクスクス笑う。

この瓶がいっぱいになったら、ネックレスにでもしてつけようかな。

オレの首に、自分の涙でできた石が飾られている…
その時彼はどんな顔をするだろう?


...End.