目覚め
「よし」
無表情の鬼たちが、そっけなく告げる。
体の中から抜かれた管に、蔵馬は小さく溜め息をついた。
***
全裸で、四つん這いで。
大勢の鬼たちの視線を浴びて、体の外も中も、くまなく調べられた。
牢に放り込む前の罪人を調べるのは当然のことだ。
罪人が妖怪である以上、人間界よりも霊界の方がより念入りになるのも無理はない。
とはいえ、見つかるような場所に見つけられたくない物を隠すような“元”妖狐蔵馬ではないのだが。
渡された薄いガウンのような服を羽織り、飛影に負わされた腹の傷の痛みに、蔵馬は僅かに眉をしかめた。
「次」
事務的な声の後に続いたわめき声に、蔵馬は振り返った。
「……飛影」
***
「離せ!!」
大暴れ、としか言い様がない。
裏切り者である蔵馬に怒りの視線を向けたのはほんの一瞬で、今はそれどころではないと手近の鬼を蹴り上げ、小さな体をねじり、飛影は全力でもがいていた。
「くそっ!!」
四人もの鬼に押さえつけられ、ベルトを切られ、唯一身に付けているものだったズボンを脱がされる。
冷たい石の壁によりかかり、白い尻が露にされるのを、蔵馬は眺めた。
「離せ!!! 殺すぞ!!!」
この手の囚人には慣れっこなのだろう。響き渡る怒声が聞こえないかのように、鬼たちは淡々と仕事を進める。
部屋の中央の簡易な寝台に、先ほどまで蔵馬がそうしていたように、飛影の体を四つん這いにした。
「やめ…!」
この部屋にいる鬼は十二人。
妖気を封じられ、両手を戒められている状態では、飛影はちょっと力の強いだけの子供と一緒だ。
妖怪など、体内に何を隠し持っているかわかったものではない。暴れようがわめこうがこの検査からは逃れられないのだから、大人しく受けた方がよっぽど楽なのにと、蔵馬は呆れてしまう。
「……っ」
四つん這いにされ、膝を開かれる。
小さな性器が、ぷるんと見えた。
「……やめろっ!」
四人の鬼に押さえつけられたままの飛影の顔を、別の鬼が逞しい手で固定し、無理やり口を開かせた。
硬いのに曲げることもできるという不思議な材質の管が、小さな口に押し込まれる。
「んぅ……っう!!」
同時にまた別の鬼が後ろに回り、薄い尻の肉を開く。
現れた穴はこれまた小さくピンク色で、緊張にしっかりと窄んでいる。
とてもそこには入るとは思えない太い管が、何の潤滑剤もないままに、ぐっと押し込まれた。
「んん!!!! んっ!う!!」
もともと大きな目がさらに大きく開き、頬が紅潮する。
かなり、痛いのだろう。
太股がぶるっと痙攣した。
馬鹿だな、という蔵馬の小さな呟きは、誰の耳にも届かない。
体の力を抜いて、なすがままにされているのが一番いいのに。
無駄な抵抗や緊張をしなければ、体の中を調べられるのはそれほどひどい苦痛ではない。
もっとも。
そんな蔵馬の無言のアドバイスが聞こえるはずもなく、四つん這いの体は震えている。
緊張と、痛みと。
何よりも、羞恥に。
「ンンーーーーッ!! んうう!!!」
口と尻をふさがれたまま、今度は小さな陰茎を持ち上げられ、細い管を通された。
痛みに跳ね上がった体を、五人目の鬼が押さえつけた。
「…飛影」
見かねてかけられた蔵馬の声も、飛影には届かない。
目を見開き、胸を上下させて呼吸をし、恐慌状態に陥っている。
諌めるでも怒るでもない、鬼たちの冷めた視線が、飛影の全身に降り注ぐ。
石造りの部屋には、飛影の荒い呼吸と、濡れた体内を動く管の、クチュ、という微かな音だけがある。
「飛影、力を抜け。その方が楽だ」
蔵馬の助言など聞こえるはずもなく、動かせない手を、足を、飛影は必死で動かそうともがく。
やれやれと、蔵馬は眉を上げる。
細い管が音を立てて奥へと入り込み、白い寝台にポタリと赤い滴が落ちた。
「飛影」
もう一度かけられた声に、ようやく飛影が視線を向けた。
「…飛影?」
大きな赤い瞳には涙の膜が張ってはいたが、意地でも涙を零すまいとでもでもいうように、蔵馬を睨みつけている。
切れた唇の端からは、赤く染まった唾液が滴る。
萎えた先端からポタリポタリと落ちるのは血のしずく。
白い尻の中央は、皺が伸び切るほどに開いて真っ赤に充血し、突き出した管は痙攣に合わせて上下する。
「……飛影」
蔵馬の喉がゴクリと鳴った。
ただの小生意気なガキだと思っていた妖怪の体。
小さくて白くて、陵辱に慣れていない、うぶな体。
「う……!っぐ、ゲッ……!!」
三本の管がいっぺんに抜かれ、小さな体が寝台に崩れ落ちる、その様。
「……」
薄い布を押し上げて猛っていたものを隠すように、蔵馬は足を組んだ。
寝台から引きずり下ろされ、同じ薄いガウンを投げられた体を見下ろす。
自分だけが、この牢獄から出るつもりでいた。
けれど、そうはいかなくなったようだ。
「飛影」
仕事は済んだと言わんばかりに、鬼たちはさっさと片付けを始めている。
「…飛影」
二人を牢獄に収容するための鬼たちの足音が、近付いてきている。
丸くなったままの体に、蔵馬はガウンをかけてやりながら、他の者には聞こえぬように囁いた。
飛影、ここから、この牢獄から、オレが必ず出してあげるからね。
そして、君を。
「…君を、オレのものに、するから」
扉を開けた鬼たちが、二人を乱暴に引っぱり上げた。
青ざめた肌を薄い布で包みながら告げられた囁き。
それが実行されたのは、そう遠いことではなかった。
...End.
2013.04.28
チンポコニャンことアイブしゃんのお誕生日に!
ハッピーバースデー。゚+.
今年もエッチな蔵飛をよろしくです!ヾ(Ф∀Ф)ノシ |
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