でもきもちいい

「本当、に…貴様はろくなこと、を考えな…いっ」

蔵馬の膝の上に向かい合って座り、体内を穿たれて、飛影の声は甘くかすれている。

黄泉が強くなったのは、目が見えなくなったせいでもある、そんな話をしていただけだったのに。
感覚の一つを奪われれば、他の感覚が鋭くなるのは当然だとか、なんとか。

「あう…」
「どう?飛影?」

どこからともなく蔵馬が取り出した黒い布は、目隠しとなり飛影の目をふさいでいた。
何も見えないままの性交は、いつも以上に飛影を昂ぶらせる。

「んん…あっあっ」

挿入された肉棒の熱さ、硬さ、皮膚の質感。
強烈に感じるそれに、飛影の中はヒクヒクと絶え間なく痙攣する。
締めつけて、巻き込んで。

もっと強く、もっと深くと、内壁はそれ自体が生き物であるかのように蠢く。

「いいよ…いつもより、感じる…?」
「あっ、あ!い、あ…く、らま…」

硬い先端、括れた先に続く長いそれ。
温かい内臓を押し広げ、掻き回し、しこりをぐいぐい突く、それ。
まるで目で見て、手で触るかのように体内で感じて、飛影は唇を小さく噛む。

嫌だ、こんな、こんなことは…嫌なはずなのに。
飛影は肩を震わせて、大きく息を吐く。

でも、気持ちいい…。
いつもよりずっと、気持ちいい。
いつもよりずっと、蔵馬を感じる。
まるで体全部が蔵馬を受け入れる穴になったみたいだ…

そこまで考え、それを否定したくて飛影はぶるっと頭を振る。

「やめ………アアアッ!…くら…このバカ…外せ…!」

飛影の抗議など聞こえないかのように、蔵馬は唇を重ねる。
分厚い目隠しのせいで、クスクス笑う蔵馬の顔を飛影は見ることはできない。

「ン、ア!! あっあっ、あ、この…変態!」
「何とでも。…でもさ」
「ひ、あ!っく、ん!アアア!!」
「…でも、気持ちいいんでしょ?」

飛影の中…いつもより、動いてるよ。
ぐにゅぐにゅ動いて、すっごいいやらしい。
ほら、前もお腹にくっつきそうだよ…。

耳の中に囁くように息を吹き込まれ、飛影の体が跳ねる。

「違っ!違う…!」

耳まで染めた恋人の姿が愛しくて、蔵馬の一部はさらに大きく膨らむ。

「あ!痛う、ああっ!き、さま…アアアア、ア!!」
「もう黙って、飛影。何も見ないで、何も聞かないで…」

ただ、中でオレを味わって。
全部残さず、味わってね。

「…ん……」

赤い瞳を閉ざしたまま、飛影は味蕾を開いた。





...End.
素敵なイラストは「miao」のM屋様におねだりしてもらっちゃったものです!
M屋さんありがとうございますー